日本の産業において、中小企業の存在はいかに重要か
海外で日本企業について語られる時、耳にするのは、トヨタ、ソニー、キャノン、パナソニック、三菱といった企業の名前である。しかし、それらは大企業の中のごくわずかなものであり、大企業といわれる会社も、400万社を超える日本企業のなかのわずか0.3%を占めるにすぎない。いうなれば、日本の企業の99.7%が中小企業である。中小企業が日本経済を支えていることを意味する。
イギリスの著名な経済学者アルフレッド・マーシャル (1842-1924) は、次のように言った。
「森であれば、いつの瞬間を見ても、若木は巨木の陰に隠れている弱々しい存在にすぎない。しかし、異なる観察の時点では、若木は同一のものではない。ある時点での若木は10年後、壮年期の木となり、その下には幼木が育っているかもしれない。そして30年後、若木は大木となり、森の主役の一つとして振舞うが、その下にはかつて幼木であった若木や新たに生まれた幼木が育っており、いつかはそれらが現在の森の主人公である大木にとって代わるであろう」
実際には、若木が大木に育つものは限られている。ずっと小さなままかもしれない。しかし、森には大木だけでなく、それよりもはるかに多い草から潅木、さまざまな矮小な植物があり、それらがすべて一体をなして、森という生態系をつくりあげている。これと同様に、産業という森もまた、少数の大木である大企業と大小さまざまな中小企業によって構成される一つのシステムとして機能している。
日本経済が語られる時、あたかも大企業だけが経済システムを動かしているかのような誤解を与えがちである。底辺にあってそれを支えている中小企業の存在はかぎりなく大きい。それはアメリカとは違ったものであり、ドイツを除くヨーロッパとも性格を異にしている。
日本の中小企業がどのようなものか、その概要をここに紹介しよう。